2018年4月30日月曜日

(K0365)  若年性認知症就業(1) ~ その意味するところ <脳の健康><インクルーシブ社会>

 
 高齢者の認知症について度々書いてきた。今回は、若年性認知症(後ろに【用語解説】)の就業を取り上げる。
 


A)   若年者の認知症は、高齢者の認知症とは違った位置づけにある
 
(1)  高齢者とは違ってまだ引退しておらず、経済的な問題が大きい。就業がとても大切

 「認知症と診断された時は、解雇も覚悟した。3人の娘と妻の生活を支えられるかどうか分からず、不安が募った」
 

(2)  若年性認知症の就業に当たっては、企業が受け入れる

 認知症の高齢者に対するのは、家族か施設が多いだろう。認知症の若年者が一般企業に就業すると、認知症ではない社員と一緒に働くことになる。企業は少し限定された社会であるが、一般社会の中で生きていくのと近い環境におかれる
 

(3)  若年性認知症の就業の前提として、残存能力がかなりある

 残存能力が一定レベルより下がると、働けなくなる。若年性認知症でありながら働けるのは、残存能力がかなりある状態だろう。認知症の高齢者もMIC(軽度認知障害)を経由することが多い。高齢者認知症への対応においては、その初期の段階が重要である。その時点での状態は、就業している若年性認知症の人と近いと思われる。
 



B)   若年性認知症就業 ~ その意味するところ
 
(1)  本人にとって

 自分および家族の生活を支えるため、経済的な意味はとても大きい。さらに、自尊心の維持や生きがいにもつながり、効果は経済的な側面だけではない
 

(2)  社会にとって

 認知症の若年者を支援することで、企業が変わり、その延長線上で社会が変わることも期待できる。インクルーシブ社会構築のための入り口の意味をもつ
 「障害や病気は誰にでも起きる。当事者と話し合い、実現可能な配慮を模索する姿勢が定着すれば、多くの人が住みやすい社会になる」
 

(3)  認知症の高齢者や、さまざまな障害者にとって

 例えば、発達障害の方も、就業を継続するのが難しくなるケースが多い。同じとは言えないが、就業の難しさや、就業を継続するための課題や工夫など、共通する面も多々あるだろう。高齢者の認知症の初期の段階でどうすればよいかにも参考になることが多そうだ。
 
 

 若年性認知症の人の就業を拡大していくことは、それ自体に大きな意義があるとともに、その実践を重ね、そこで得られた知見やノウハウを他の障碍者も含めた分野にも生かしていくことは、さらに意義深いことだと思う。


 以下に出典を書いているが部分的に引用しているだけで、ここまで書いた大筋は、新聞に書かれたものではなく、私のオリジナルである。したがって、文責も私にある。
 

【用語解説】若年性認知症
 65歳未満で発症する認知症。厚生労働省研究班の推計では全国に約3万8000人いる。初期の症状は疲れや更年期症状、鬱病などと間違われ、診断に時間がかかることもある。本人や家族は周囲に打ち明けにくいため、治療や必要な支援を受けられないまま症状が悪化し、退職に追い込まれたり、引きこもったりするケースも少なくない。国は今年改定した「障害者雇用対策基本方針」で、就労支援対象として若年性認知症を加えた。

引用:産経新聞(2018/04/28)
 
 

<出典>

認知症社員を企業が支援 能力に合わせた業務担当
【ゆうゆうLife】 産経新聞(2018/04/28)
 
認知症社員を企業が支援 能力に合わせた業務担当
https://www.sankei.com/life/news/180426/lif1804260020-n1.html
添付図は、このサイトより


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