2018年4月10日火曜日

(K0344) 「自助精神、共同体意識」乏しく <地域の再構築>

 
===== 引用はじめ
 災害時の対応は、住民のふだんの生活ぶり、心構えが如実に表れる。
 甘えのない徹底的な当事者意識がある「アメリカ型防災」、
 官民の揺るぎない信頼の中で国難に向かう「キューバ型防災」。

 こうした自助の精神、共同体意識、どちらも今の日本社会に乏しいものだ。両国に学ぶべきとところがあるのではないか。
===== 引用おわり
 
 筆者の片田敏孝氏は、23年の東日本大震災で岩手県釜石市の小中学生が避難した「釜石の奇跡」の指導者として内閣総理大臣表彰などを受けている。
 


 ハリケーン・イルマに対して、米国・キューバの国民は、日本人とは違う反応を示した。
 
===== 引用はじめ
 歴代最強クラスのハリケーン・イルマが昨秋、カリブ海で発生し、米国やキューバが被害を受けた。両国民の避難行動をみると、日本で毎年住民が避難しないことが問題視されることと対照的である。
===== 引用おわり
 


 米国・キューバは日本と違う対応をするが、米国とキューハトも違う。
 
===== 引用はじめ
 イルマに対する米国の対応は個人の意思による避難だが、
 キューバは地域社会そのものが一体となって整然と避難した。
===== 引用おわり
 


(1)  甘えのない徹底的な当事者意識がある「アメリカ型防災」
 
 避難対象地域でない約300万人もの住民が自分で判断し一斉に避難した。
 
===== 引用はじめ
 フロリダ州政府は非常事態宣言し、380万人の州民に避難命令を発令した。実際に避難したのは避難対象地域の周辺も含め650万人。
===== 引用おわり
 
 「自分の身を自分で守る」という米国人の自助の精神を強く感じる。
 


(2)  官民の揺るぎない信頼の中で国難に向かう「キューバ型防災」
 
 ハリケーン襲来時には危険な地域に住民は全く存在しない。これでは、犠牲者などありようがない。
 
===== 引用はじめ
 キューバでは、被害が予測される事態になると、 … 避難所が開設される。

 老人や妊婦、子どもや障がい者を優先避難させ、移動には国営バスが提供される。避難後は、軍が整備を行うなど … もちろん、住民防災組織も住民の避難支援を行う。
===== 引用おわり
 
 このようにして、全ての人が整備された避難所でわが身を守っている。
 

 社会の統制力が働きやすい社会主義国だからできるのではないと、片田氏は語る。
 
===== 引用はじめ
 日々の生活に「お互い様の納得」があるから、それを皆で守ることに疑問を感じないようなのだ。
 国が国民を大切にし、国民が国を信頼する「公と個人」の信頼関係は日常生活の中で醸成されている。
===== 引用おわり
 
 


 ある意味で、米国とキューバは正反対なのだが、各々が各々のやり方で被災を防いでいる。その中間にある日本は、どちらの真似をしてもうまくいかないのだろう。日本流の防災を模索しなければならない。


出典
片田敏孝、「自助精神、共同体意識」乏しく、日本の防災を考える
産経新聞(2018/04/09 夕刊)

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