2018年1月30日火曜日

(K0274)  合計特殊出生率をV字回復させた「母親資本」(ロシア) <少子高齢化>


===== 引用はじめ
隣国ロシアは、ソ連崩壊後に合計特殊出生率が1999年に1.2を割り込んだが、最近は1.7以上に改善している。この改善に効果的だったと言われているのが「母親資本」制度であり、第2子を産んだ場合に1回だけもらえる年収の0.52倍相当の税財源の補助金である。
===== 引用おわり

図1「(K274)日本・ロシアの合計特殊出生率推移の比較」を添付する。

 

第2子を産んだ場合に1回だけもらえる年収の0.52倍相当の税財源の補助金である。

受給要件の詳細は、添付資料参照。
 

母親資本を授与されるのは1回だけであり、第3子以降が生まれても授与されない。第3子以降に対しては、教育費の援助や土地が無償でもらえるなど、別の優遇策がある。

支給の水準としては日本円換算で100万円程度である。しかしロシアの業種別平均年収からみれば、年収の0.5倍ないし2倍の大金である。

母親資本の用途は、住宅環境の向上、子どもの教育、および退職した母親の年金原資に限定されており、車の購入や土地のみの購入は禁止されている。母親資本の水準からすると「子どもを2人産むと家が買える」ということになろう。
 

ロシアは母親資本以外にも長い育児休暇等多くの出産・子育て支援措置があることもあり、母親資本がロシアの合計特殊出生率V字回復に貢献しているかについては議論があるが、肯定的な研究が多いようである。
 

仮に「日本版母親資本」を導入するかを検討する場合には、日本において少子化対策としての政策効果があるかを分析する必要があると同時に、財源の確保が問題になる。
 

なお、「第34回 土光杯全日本成年弁論大会」でフジテレビ杯に輝いた青木優介は、論文で「母親資本」に言及している
 

引用
杉田健(2016)、ロシアの少子化対策「母親資本」制度とその効果、
http://www.nensoken.or.jp/researchreport/pdf/rr_28_12.pdf
添付図は、このサイトより転載


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