2018年1月19日金曜日

(K0264)  ハウスレスとホームレスは違う / 抱樸(1) <インクルーシブ社会>


ハウスレスとホームレスとは違う。
 

(事例1)路上生活者は、どこまで行けば救われるか

 路上生活者が言った「畳の上で死にたい」。救済処置で、きれいな部屋でポツンと一人で座っていた。彼は未だ救われていない。ハウスレスは解消したが、満足していない。今もホームレスだからである。彼は言う「誰かに看取られながら死にたい」。
 

(事例2)「ホームレス」を襲撃する「ホームレス中学生」

 中学生が路上生活者を襲撃する事件が起こった。その中学生には家があり両親と住んでいる。しかし、彼は言った「家があっても帰るところがない」「親はいても誰からも心配されていない」。路上生活者が言った「彼の気持ちはよくわかる」。続けて言った「私はハウスレスでホームレスだ。その中学生はハウスレスではないがホームレスだ」

 

 困窮には、二つの概念がある。経済的困窮と社会的孤立である。
経済的困窮に必要なのは、ハウスレス支援である。「なにが必要か」を考えて支援する。
社会的孤立に必要なのは、ホームレス支援である。「だれが必要か」を考えて支援する。


 経済的困窮と社会的孤立はスパイラル関係にある
経済的困窮は、社会的孤立を誘発する。
社会的孤立は、経済的困窮を誘発する。

 この負のスパイラルを正のスパイラルに逆回転させる
経済的困窮を改善できれば、社会的孤立を改善できる可能性が出てくる
社会的孤立を改善できれば、経済的困窮を改善できる可能性が出てくる


 従来は、次のように言われていた。
「自立した者が社会に参加できる」。だから言う「自立せよ」
しかし、「参加は、自立の前提」である。孤立のままでは自立できない。

 自立が孤独死の入り口になってしまうこともある。
 

 経済的困窮に対する支援が、必要である。
しかし、それだけでは解決しない。
社会的孤立に対する支援も、必須である。

 社会的孤立に対する支援のキーワードは、
「なに」ではなく「だれ」だ。
 

出典
市民福祉大学主催 市民福祉セミナー
「助けてと言えるために ~子ども・家族MARUGOTOプロジェクトの報告~」
NPO法人抱樸 奥田知志 理事長 平成30119

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