2017年6月29日木曜日

(K0060) 家庭内の暴力 児童虐待 / 「生きづらさの中を生きる」(2) <家族の再形成>


講師:稲垣由子(甲南女子大学 小児科医)
 

(1) (疾病概念ではない)「健康概念」というものがあり、”Body function”(心身機能・構造)、”Activity”(活動)、”Participation”(参加)の3つの要素からなる。この「健康概念」によれば、障害があっても健康で幸福になりえる

(2) 「子どもの虐待」とは、「親または親に代わる養育者によって、子どもの人権を侵害する行為」で、「長期・慢性に継続し、子どもの心身に外傷をあたえる行為」であって、「親または親に代わる養育者の意図とは関係ない」

(3) 被虐待児の長期予後として、「死亡」「発達の問題」「(社会に向かった時の)社会的ハンディキャップ」「(自分に向かった時の)心理的ハンディキャップ」がある。「発達の問題」としては、「身体的後遺症(肢体不自由児)」「精神的発達遅滞」がある。「社会的ハンディキャップ」として、「非行」「行為障害」「犯罪」がある。「心理的ハンディキャップ」として「抑うつ」「人格障害」「多重人格」がある

(4) 「ミュンヒハウゼン症候群」の症例として周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自らの体を傷付けたりするといった行動が見られる。そのうち、近親者(母親の子供に対するケースが多い)を病気に仕立て上げるのが「代理ミュンヒハウゼン症候群」であり、これによって虐待が行われることがある
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%92%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%BC%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

(5) 虐待は、不自然さに気づくことから発見されることが多い。常に頭の片隅に虐待を考えておくこと

(6) 親子関係障害としては、「子どもに対する感情の混乱」「怒りの要素」「緊張と苛立ちの感情」「憎しみと拒絶の感情」がある

(7) 「親の愛情を受けたことのないまま親になった人」へのアプローチとして、「内発的感情の自己認知機能への働きかけ」がある

(8) 愛着とは、「子どもが養育者に対して向ける特別な感情の絆」であり、「愛着を感じる」とは、「(養育者・愛着対象に)安全と安定感をもつこと」である

(9) 愛着が障害されると、「自我機能に全般的な障害」「ゆがんだ対象関係しか確立できない →  他者との親密な関係をとりにくい」「根深い対人不信と限りない愛情希求の間で揺れ動く」「攻撃者への同一視」「衝動統制ができない」「自己評価が低い」

(10) 回復のためには、3Tが必要。”Time”(時間)、”Tear”(涙する 感情)、”Talk”(語る 感情の表出)

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