2017年6月10日土曜日

(K0041) 神戸市居場所づくり型 一般介護予防事業 <自助・共助・公助>


少し遡る。61日、CS神戸主催の「神戸市居場所づくり型 一般介護予防事業 情報交換会」に参加した。
CS神戸:http://www.cskobe.com/
 

最後に参加者から次のような発言があった。「ボランティア活動の実態を調査してから、制度を作ってください。そうすれば、このような使えない制度にはならないはずです」。他の方々の発言からみても、妥当な発言だろうと思った。

 

介護保険のうち、介護予防の事業が国から地方自治体に移る(神戸市は、H29/4より移行)。その受け皿として「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」が始まった。自治体ごとに取り組むことになっており、以下に書くのは神戸市のケースである。

先ず、全体の体系を整理すると(整理番号は私がつけた)、
http://www.city.kobe.lg.jp/life/support/carenet/sougouzigyou/img/sougouzigyou_pamphlet.pdf
 

介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)

1.   訪問型サービス
1.1.  介護予防訪問サービス
1.2.  生活支援訪問サービス
1.3.  住民主体訪問サービス

2.   通所型サービス
2.1.  介護予防通所サービス
2.2.  短期集中通所サービス(集団型・個別型)

3.   一般介護予防事業(地域での介護予防・生きがいづくりの場)
3.1.  地域拠点型
3.2.  居場所づくり型
3.3.  自主活動型

今回の情報交換会は上記のうち「3.2.居場所づくり型」が対象である。ちなみに「3.1.地域拠点型」は従来の「生きがい対応型デイサービス(介護予防型デイサービス)」、「3.3.自主活動」は従来の「ふれあいのまちづくり事業」に対応するようだ。

 

情報交換会ではグループ単位で意見交換した。さまざまな観点から意見が出たが、多かったのは、「補助対象経費」における「対象外」に関してだった。整理しておく。

補助対象経費の項目としては、謝礼金、交通費、消耗品費、通信運搬費、保険料、使用料・賃借料であるが、「以下は対象外ですのでご注意ください」と4項目が示されている。

以下に4項目とそれに対して、私のグループで出た意見を整理する(整理番号は私がつけた)。

   チラシ印刷等の広告宣伝にかかる経費

意見:どうやって人を集めるのか?

   お茶・菓子等にかかる経費

意見:茶菓子を出すために参加費を払ってもらっている。参加費は「収入の部」に記入するが、茶菓子代は「支出の部」に参入してはいけないというのは、おかしい。いただいた参加費は何に使うのか?

   ボランティアの人件費

意見:これを対象外にするのはやむを得ないが、地元でないところで活動している人も多い。そういう人たちの力も必要だから、せめて交通費は出してほしい(注:交通費は、「外部から招く講師やアドバイザー等の交通費」に限定されている)。

   自宅など団体構成員の所有地の光熱水量、会場使用料等

意見:空き地利用促進を要請され、善意で自宅開放している人も多い。そういう人たちを何故見棄てるのか?

その他の意見:謝礼金は「外部から招く講師やアドバイザー等への謝礼金」と限定されているが、スタッフや参加者の中にも人材はいる。そういう人たちが生き生きと役割を担うことこそ大切なのに、それを無視している。

 

全体としての私の感想:

(1)  ボランティアは、自主的な善意に基づいており「性善説」がベースにある。一方、示されたルールは、「性悪説」がベースになっている。「悪い事を許さない」ために、がんじがらめに縛り、結果として「自主的な善意」をあまり助けられない。そもそも、何をしようとしているのか?

(2)  税金を使うのだから「悪い事を許さない」のは当然であるが、本来は公共がすべきことに協力してもらうのだから、しかるべくサポートしないと「自主的な善意」は継続できないと思った。

(3)  個人的な意見だが、消費税をもっとあげないと、これからの高齢社会を維持できないと思う。「高負担・高福祉」(北欧型)、「低負担・低福祉」(アメリカ型)のどちらかで、「低負担・高福祉」はありえない。これまでは「人口ボーナス型」でなんとかなっていたが、日本は明らかに「人口オーナス型」に移っている。企業に過剰に負担をかけると、日本経済を支えている基盤を失い、日本全体が沈み、日本人がこれまで享受してきたものまで根こそぎ失う。

(注)「人口オーナス」:人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する状態。オーナス(onus)とは、「重荷、負担」という意味。逆に、人口構成の変化がプラスに作用する状態を「人口ボーナス」という。少子高齢化の進む日本では、人口に占める働く人の割合が低下しており、経済政策などを考えていく上で人口オーナスが重要なキーワードになっている。
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